習慣の力って凄まじいですよね。
例えば私にはコーヒーを1日5杯くらい飲む習慣がありますが、1杯のコーヒーが約200mLだとすると、1年で365 L飲む計算になります。私は1年にお風呂2杯分のコーヒーを飲む計算になります。
また、コーヒー1杯を20分かけて飲むとすると、コーヒーを飲むのにかける時間は1年で600時間を超えます。
365日、同じだけの時間をたとえば英会話の勉強に当てることができたら、2年足らずのうちに習得できるでしょう(大体1000時間を目安として)。
このように、習慣によってコツコツ毎日少しずつ積み上げることによって、大きな力を得ることができるのです。
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今回紹介する本は、その習慣の力を解説するとともに、習慣化の仕方、挫折しない方法も解説してくれています。
さっそく内容を見ていきましょう。
スイッチとなる良習慣
本書の帯に
「この本を読んで、毎朝5時起きを始めた。すると、食生活や働き方、体型、お金の使い方、すべてが変わった」
とあります。見事な集客文句だと思います。
果たして、5時起きを始めるだけで、このような進研ゼミの漫画のような成功の連鎖を起こせるものなのでしょうか。
本の著者は、可能だといいます。
著者のメンタルコーチとしての経験、そして、オーストラリアの研究者による実験結果からこのように主張します。
残念ながら、本書にソースの記載はありませんでしたが、以下のリンクの研究を始めとする実験に基づくものと思われます。
participants who exercised showed significant improvement in self‐regulatory capacity
Longitudinal gains in self‐regulation from regular physical exercise より引用
というように、好ましくない習慣を自分で制御する能力の向上が有意に確認できたと言うのです。
習慣化によって得られた「自分をコントロールできた」という成功体験を軸に、良い循環が始まるのでしょう。
帯の例で言えば、5時起きを習慣化するという成功体験のもと、朝のスッキリした時間を勉強や運動に当てることによって
能力の向上を伴ってさらなる自信に繋がり、ストレスも軽減されることで体型や食生活にも変化をきたし、
夜は眠いから飲み会とかに行ってだらだらとお金を使わなくなった。
といったところでしょうか。
他にも新たな良習慣を身につけたために、これまでの悪習慣が不要になったorする必要がなくなったということもあると思います。
このように、「良い習慣を身につけ、悪い習慣を絶っていく」ということが「自分を変える習慣力」なのです。
本書では、「スイッチとなる習慣の見つけ方」そして「どう習慣化するか」を教えてくれます。
スイッチとなる良習慣の見つけ方
自分にとっての良い習慣を見つけるためにはどうしたら良いのでしょうか。
本書では「本当の目的」を知ることと「最高の目標」を作ることの重要性を説きます。
本当の目的
「あなたが本当にしたいこと」ってなんですか?
「転職の思考法」でも書かれていたように、ほとんどの人間が「本当にしたいこと」なんて持っていないという話もありますので、
「あなたが本当になりたい状態」でもいいと思います。

著者が過去にダイエットをしたときの本当の目的は「子どもたちのために、健康で充実した毎日を送るカッコいい父親になりたい」だったそうです。
これって状態ですよね。そういうことでいいんだと思います。
つまり、あなたはなんのために良い習慣を身に付けたいのか。真の目的に気づくと行動までがスムーズに行きます。
そして肝心なのが、その目的を達成したら起こることを具体的にイメージすることです。
・これを達成したとき、どこにいるのか?
・誰といるのか?
・どんなことをしているのか?
・その場で見えているものはなにか?
・どんな音が聞こえているのか?
・それをしているとき、どんな気持ちか?
・その時の体の感覚は?
このように、自身の想像力をフルに使って達成後を具体的にイメージすることによって、潜在意識に働きかけます。
本当の目的を確認するためのステップ
1.今取り組んでみたいと感じている習慣を1つ挙げる
2.習慣化の目的
3.2の目的が達成できたらさらに何をしたいか
4.3が達成できたらさらに何がしたいか
このように、さらに、さらにと自分に問いかけることによって、自分の本当の目的に到達します。
書いてみることも潜在意識に働きかける上で有効な手段であるそうなので、実践してみてください。
最高の目標
本当の目的がわかったら、その目的を達成するために必要な習慣をいくつか挙げます。
そしてその中から「1つだけ」選びます。後述しますが、1つに絞って定着させることが習慣化にとって何よりも大切なことなのです。
目標設定のポイント
毎日続けられること
「毎日10キロ走る」のようなハードルの高い目標を設定してしまうと、何日も続かず、習慣化することができません。
習慣化は、成果ではなく定着を重視します。とにかく「毎日続けられること」が大切です。
ハードルは低めに設定し、やってみてもうちょっと行けるなと思ったら、微調整していけばよいのです。
毎日できたかどうか分かる目標にする
わかりやすい例が「数値化」です。
・○○を30分勉強する。
・○時に起きる。
・○○km走る
・〇〇分運動する。
などが良い例だと思います。
具体性をもたせることによって目標が達成できたかわかるようにします。
そして、達成した目標はメモ帳などに記録を残すと、達成感を得ることができ、習慣化を促進してくれます。
ポジティブな言葉で設定する
「~しない」という目標ではなく「~する」という目標を設定します。
否定語や禁止語をつかうと、誰かから禁止や命令されているような気分になり、続けたいという気持ちが削がれてしまいます。
「人を動かす」でもやりましたね。命令では人を動かすことはできません。自分に対してだって同じです。

さらに、価値観的な言葉を使って目標設定するとよいと、著者は言います。
×「急いで食べないようにする」(禁止語の使用)
△「ゆっくり食べる」(ポジティブな言い換え)
○「夕食を30分以上かけて、ゆっくり食べる」 (具体化)
◎「夕食を30分以上かけて楽しみ、感謝の気持とともにゆっくり味わって食べる」 (具体化+価値観の付与)
大げさに見えますが、たしかになんだかポジティブな感情が湧いてきますよね。
どう習慣化するか
さて、習慣化することが決まりました。目標も設定しました。
あとは実行に移すだけなのですが、習慣化するためのポイントも押さえておきましょう。
潜在意識を味方につける
潜在意識にはかなりのパワーがあります。
プログラミングのようなもので「ある入力」に対して無意識に「ある出力」を返す、というものです。
条件反射にも似ていますね。人は、ある条件に置かれると無意識的に行動をしてしまうのです。
しかも、この潜在意識というものは、その反対の自分の意識的行動(顕在意識的行動)の2万倍以上のパワーがあると言われているそうです。
私にも「トイレの便座に座る(=入力)とスマホを取り出しSNSを見てしまう(=出力)」プログラムがされてしまっています。
見ちゃうんですよね~なんか。
このパワフルな自動化プログラムに良習慣を取り入れることができれば、無意識に良習慣を継続することができます。
そう、この潜在意識(自動化プログラム)は、自分で設計し、書き換えることができるのです。
この潜在意識は、「安心安全そして現状維持」を継続するために働きます。
そのため、この欲求を満たしながら、小さなチャレンジを継続しながら、少しずつ書き換えていくことが重要です。
頑張らなくていい
意志の力は消耗します。一度にあれこれ始めようとするほど、意志の余力はありません。
そのため、「まずは1つのことに集中する」ことが大切です。
さらに、日々粛々と続けるべきことなのに、毎日が「頑張るモード」だと、疲れてしまいますし、苦痛を感じてしまいます。
そうすると、結局は潜在意識の抵抗にあってしまいます。
「毎日続けられること」を目標とする、と書きましたが、頑張らなくてもできることを日々粛々と繰り返すことが、習慣化に繋がるのです。
大切なのは習慣化による成果(減量、学力向上など)ではなく「定着」なのです。
無理なく日々粛々とこなしていることが、1年後にはどれくらいの蓄積になっているでしょうか。
定着させれば自ずと成果が出るのです。
三日坊主にならないために
三日坊主にならないための方策についても述べられています。
自分の行動パターンを把握する
自分の行動パターンを観察・把握し、習慣化に取り組める環境を準備してあげることが重要です。
快の感情に結びつける
一番わかりやすい例が音楽です。「自分が一番アガる音楽」で目覚める。聞きながら運動する。のように、習慣と良い感情を結びつけます。
チョコが好きなら、早起きしたらチョコを食べる、運動している間だけチョコを食べて良い、などです。
これを続けると、習慣化しようとしている行動と「快の感情」が直接結びつき、自然と腰が上がるのです。
「もう少しやりたい」くらいでやめておくのも一つの方法です。「もっとやりたい」という快の感情が掻き立てられ、習慣化に繋がります。
自分のルーティンに紛れ込ませる
普段やっているルーティンのついでにやることで無理なく継続することができます。
パートナーを見つける
一緒に頑張ろうとする仲間がいれば、習慣に関する意見やアイディア交換をすることができ、モチベーションアップに繋がります。
お互いに刺激し合うことによる、成果も期待できるでしょう。
また、本書には書いてありませんでしたが、仲間を作って一緒にやる、ということは「途中でやめられない」という強制力につながるため、継続に一役買う効果もあると思います。
本書のエッセンスは以上です。
いかがだったでしょうか。
本書の後半には、日々実践できて、かつ、生活をより豊かにするための良い習慣の例を取り上げており、大変参考になります。
自分の生活を変えたい。そう思った方は、まず1つの良習慣にフォーカスし、それを習慣化できるように頑張りましょう。
漫画版も出版されていたようです。活字が苦手な方はどうぞ。
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