『タコは海のスーパーインテリジェンス』|天然AI!?!?海底の賢者タコ

タコ イカ 科学
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タコ地球外生命体説というのをご存知でしょうか。

「タコ 地球外生命体」と検索すると、2018年ごろの記事がザクザク発掘されます。なんでも、この頃にProgress in Biophysics and Molecular Biologyという学術論文に、「タコ(とかイカ)の遺伝子は、地球外から飛来したかもしれない」という言説を含む論文が投稿されたらしいのです。
ムーとかではなく(ムーも記事にしたみたいですが)、インパクトファクターを持ついわゆる学術論文に投稿され、パブリッシュに至った論文なのだそう。

内容を3行にまとめると
・タコの祖先は2億7000万年前に突然現れた
・特有の遺伝子を大量に持っている
・トランスポゾンとかいうのがいっぱいある
→宇宙からきた!

他にもこれをネタとしたブログ記事類が発掘されるのですが、どこを見てもソースの論文のリンクを貼っていないので、ここに貼っておきます。

[st-mybox title=”参考” fontawesome=”fa-file-text-o” color=”#757575″ bordercolor=”” bgcolor=”#fafafa” borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]

Cause of Cambrian Explosion – Terrestrial or Cosmic?
(カンブリア爆発の原因は地球的なものか宇宙的なものか?)

[/st-mybox]

オープンアクセスなので、皆さんご覧になれます。

この論文を探しているときに、「宇宙から来たタコとかいう擬似科学(The pseudoscience of octopuses from space)」のようなこき下ろしたようなタイトルのブログ記事も発見したのでここに置いておきます。
すごくよく批評されております。

と、この話をしたいのではなく。もっと以前にタコが地球外生命体であるとかいうコピペがどっかにあった気がするのですが…。なかなか見つけることができませんでした。
確か、精巧な眼を持っているのにもかかわらず、それを処理する脳がない、といった内容だった気がします。どなたかこのコピペ持ってませんかね?

とまあ、こういった界隈に限らず、宇宙人のキャラデザにその姿を借用されたり、罵倒時に転用(このタコが!)されたり、寿司以外にも我々日本人にネタを提供してくれているタコですが、無脊椎動物の割に賢いんですね。

そんな日本人にとって親しみやすく、身近な海の生物であるタコの魅力に取り憑かれ、精力的な研究をされている池田教授によるタコの本を紹介します。

出版社は「ちんこの本で有名な」化学同人さん。いつもお世話になっております。

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DOJIN選書シリーズの88番だそうです(タコだから88にしたのかな?)。

あ、ちなみに、本書ではタコの起源について書かれているわけではなく、解剖学的・生態学的観察の結果わかったことを軸に、著者がタコとどう関わっているのか、これからどうしていきたいのか、ということが書かれています。

一人の探求者としての姿が垣間見えるので、生き物に関わらず、学問が好きで、これから研究に携わっていきたいなと思っている方々にオススメしたい本です。

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タコの知性の源泉

知性の話の前に、私個人的に「タコって気持ち悪いっ(悪口ではない)」と思った特徴を書きたい。

本書でも触れられているが、タコは精子をカプセルに入れてメスに渡す。

これって気持ち悪くないですか?なんか、タコの中にちっちゃい宇宙人がいても不思議ではない気持ち悪さなのです。精子手渡しってすごい。気持ち悪い(悪口ではない)。

ついでにいうと、タコのメスは狭いところに卵を海ぶどうみたく植え付けてそれを半年から一年近くの間不眠不休絶食状態で守り続け、孵化とともに死にます。

タコのオスはというと、精子を手渡しした直後に死ぬ

子孫を増やすためだけに生きて、役割を終えたらすぐ死ぬ、なんて儚く尊い命なのでしょうか。武士の魂のような美しさを感じます。

優れた眼、大きな脳

さて、タコの知性に関することです。

タコとイカは、無脊椎動物と分類される生物の中では類を見ないほど大きな脳を持っており、その大きさは魚類・爬虫類並みから魚類・爬虫類と鳥類・哺乳類の間くらい。マダコの脳の大きさはラットほどあるそうです。

そんなタコの脳の神経回路が、AIに似ている、という主張があるらしいそうで、超簡単に言うと、情報のインプットがあり、経験に根ざした最適化を以ってアウトプットをすることできる脳みそを持っているらしい。

ということで、著者の池田教授は、本のタイトルに「スーパーインテリジェンス」という言葉を使ったそうです。

また、タコ(イカも)は人間の眼と同様の立派な「レンズ眼」を持っています。さらに目の裏側にある脳の「視葉」と呼ばれる部分が非常に大きく、視覚情報がタコにとって重要な情報であるということがわかります。

腕で考えるタコ

「人は考えるアシである」みたいなそんな哲学的な話ではありません。

タコの腕には全神経細胞の60%が分布しています。全体の過半数を超える数の神経細胞が分布しているということは、脳よりも8本の腕に多く神経細胞があるということです。

さらに、タコは腕1本あたり吸盤を200個持ちます。吸盤という器官は、モノに吸い付き、獲物を捕まえたり、体を支えたりする用途に使われると思いがちですが、それぞれの吸盤に感覚の受容体細胞があり(全腕の全吸盤を合計すると2億4千万個もの)、その受容体細胞によって、味覚といった化学刺激と凹凸を感じる機械刺激を受け取ることができるとのこと。

一つの感覚情報から別の感覚情報を想起することを「クロスモーダル知覚」というそうなのですが、タコにもこの機能が備わっていることが実験的に示唆されたそうです。

私達人間も、梅干しを見て、酸っぱい味が想起される(そして唾が分泌される)ことってありますよね?これが、クロスモーダル知覚であり、チンパンジーやイルカ、一部の魚で確認されるなど、多くの生物に備わっている能力ですが、タコにも備わっているそうです。

目で見たものと腕で触った触感をリンクさせているかのような振る舞いが、実験で観察されたのです。

観て学ぶ

AIのような神経回路を持っているという話がありました。

経験に基づく最適解を出力する、の経験には見て学んだことも含まれるようです。観て学ぶ。

よく、まなぶという言葉は「真似ぶ」から来ていて云々…、という話がありますよね。私にももうすぐ3歳を迎える娘がいますが、よく私達両親のマネをしては失敗し、学習し、昨日できなかったことを今日はできる、といったことを繰り返して成長しています。

タコも観て学ぶことができるようです。オペラント条件付け(動物実験界隈ではおなじみのあの)をしたタコの横に、何も条件付をしていないタコを置くと、条件付されたタコの行動を見て、同様の行動をするということが実験でわかっています。

観て学ぶ。素晴らしい能力ですね。

擬態はできるが色の識別はできない!?

タコが擬態をできることを知っている方は多いと思います。岩場に張り付いたタコが茶色になって、ゴツゴツとした岩肌の質感を再現している写真を見たことがある方も多いのではないでしょうか。本書の巻頭にはカラー写真が何枚か掲載されていて、個人的にはとても気に入っています。タコ、かわいいね。

このドッキリテクスチャー並みの素晴らしい能力を持つタコですが、擬態で体色を変える能力を持つにも関わらず、なんと色覚を欠くそうです。これにはタコさんもびっくり。

体色を変化させるには、色素胞とよばれる色素顆粒が入った袋を筋肉で持って伸ばしたり縮めたりすることによって、色の濃淡をコントロールしているらしいですが…、タコが何を感知して、どの色を発現するのかはまだわかっていないそうです。

このあたりは研究が進められているようで、色覚を持つタコがいそうだったり、表皮で色を感知しているタコがいそうだったり、ということがわかってきているそうです。とてもロマンがあるテーマですね。

意外と知らないイカとの違い

タコとイカは頭足類の二大巨頭で、我々にとっても馴染みの深い動物ですが、その違いについて意外とよく知らないのではないでしょうか。

まあまず、形が違いますね。タコは丸い頭に八本の腕、イカは槍のようにとんがった頭(体)に十本の腕です。

頭に対する腕の長さの比も異なり、タコのほうが頭に対して長く、イカの方は短いそうです。

この違いは(どっちが先かはわかりませんが)生活の仕方にも現れています。タコは基本的に海底を一人でテクテク歩くタイプでイカは群をなしてビュンビュン泳ぎ回るタイプです。

タコは蛸壺に籠もる引きこもりタイプですが、イカは隊列を組みソーシャルネットワークを構築ようなタイプです。

タコの社会性についても最近の研究でわかってきたことが載っていますので気になる方はぜひ手にとって読んでみてくださいね!

タコとイカでは吸盤のメカニズムが違う

個人的に驚いたのが、タコとイカの吸盤のメカニズムの違いです。

我々が想像する吸盤は、吸い付きタイプで、おもちゃなどに付いていてガラスやタイルにはっつけたりするようものだと思います。タコの吸盤はこれと同じメカニズムで、吸盤の真ん中に穴が空いていて、そこを引っ張ることによって吸盤とモノとの間の圧を下げ、吸い付いているようです。

一方、イカの吸盤ですが、これは我々の想像とは若干異なり、吸盤の周りにぎざぎざとした角質環と呼ばれる爪ようなものがついており、それにモノを引っ掛けるようにつかうようです。

たしかに、タコの足とイカのゲソでは食べたときの口触りが違いますよね。笑

さいごに

いかがだったでしょうか。

本書にはタコの生活史や社会性、性格についても触れられていて、今まで身近でありながら、その生物的な特徴を殆ど知らなかった動物についてよく知ることができました。

著者である池田教授は、おしゃべり好きの読書好きなのでしょう。少々文体が詩的だったり、冗長だったりすることが見受けられます。学生時代にお世話になったおしゃべり好きの教授を思い出しました。教授って話は長いけど面白い話題を持っている方って多い気がしますよね。それもこれも超高度な専門性と高い教養が生み出す技なのだと思います。

ということで、特に堅苦しすぎず、面白く読めるのでこのGWに読んで、GW明けに話のネタにするのはいかがでしょうか。

私はこのGW、寿司ネタとしていただこうと思います。

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